カナダのブリティッシュコロンビア州サレー市(the City of Surrey)では、オピオイド(麻薬性の鎮痛薬)の過剰摂取による死亡者を減らす取り組みにQlik製品を活用しています。このブログは以下の記事の紹介となります。

https://www.firefightingincanada.com/response/mapping-the-crisis-25392

 

【サリー市のオピオイド過剰摂取(Overdose)等の状況】

オピオイドは日本ではなじみが薄いかもしれませんが、海外では鎮痛薬としてよく利用されているようです。また、オピオイドは医療用麻薬で、強い鎮痛作用がある一方で、依存症になったり、過剰摂取により呼吸困難を引き起こし死亡するケースもあるそうです。

 

ブリティッシュコロンビア州(人口約480万人)では、薬物過剰摂取による死亡者は、以下の通りで近年急激に増加していました。

2017年 488人(1月~4月のみ)

2016年 935人

2015年 518人

2014年 368人

 

また、サレー市でも同様で、市民約50万人に対し、2015年は医療系の緊急通報22,363件のうち薬物過剰摂取での通報は1,606件、2016年には緊急通報24,976件のうち薬物過剰摂取での通報は2,623件と前年比の63%増と急激に増加していました。

 

2016年2月にはブリティッシュコロンビア緊急医療サービスから指導を受けた消防士(サレー消防サービス)が薬物過剰摂取者に対しナロキソンを注射することで77名を生還させました。

 

一方で、こうした対応は対処療法的であり、また、過剰摂取者は増え続けるため、プロアクティブな対応が求められていました。

 

2016年12月には、1日に8人以上の過剰摂取が報告され、2015年1月の報告の2倍になっていました。また、こうした状況は州全域でも同様で、上述の通り、2017年のはじめの4ヶ月間で過剰摂取による死亡者は488人を数えました。

 

【オピオイド過剰摂取への対策】

2017年はじめにSFS(サレー消防サービス)は、Qlik製品を利用してオピオイド過剰摂取の集団に関するリアルタイムなレポーティングの仕組みを構築しました。その目的は、問題が発生しそうなエリアに効果的に医療及び行政資源を投入できるよう情報を活用することでした。

 

この仕組みは2017年春に完成し、緊急通報データを常時スキャンし、過剰摂取の集団や地域に関する警報メールを発信できるようにしました。その警報メールは例えば次のような場合に発信されます。

  • 過剰摂取者が通常(日次ベース)の2倍以上の場合
  • 1平方キロメートル内、4時間以内に過剰摂取者が3人以上発生した場合

 

サレー市は医療機関とも連携し、過剰摂取者に関する情報を共有できる仕組みを作りました。過剰摂取の集団に関する警報メールが発信されると、医療機関は追加のスタッフ等をホットスポットに向かわせ、警察もこのエリアを重点的に巡回します。これは効果的な対応というだけでなく、スタッフ等の資源投入を抑える効果もありました。

 

また、データの蓄積により、過剰摂取の発生タイミングや発生地域の予測可能なパターンが把握できるとともに、過剰摂取の発生が給料日等に増加する傾向があることもわかりました。

 

これまでにも、SFS(サレー消防サービス)は長期間の火災発生統計を活用して、スタッフや機器を戦略的に配置するアプローチをとってきましたが、同様のやり方をオピオイドの過剰摂取対策にも適用しました。こうしたリスクベースモデルにより、投入できる資源を最も効率的かつ効果的に利用できるようになりました。

 

サレー市のこうした活動は、カナダ全土の行政機関や医療機関から注目を集め、アメリカの行政機関からも講演依頼等があるそうです。

 

以下にオピオイド危機を分析するアプリケーションの作成手順をご紹介(英語)していますのでご参考までに。

Analyzing the Opioid Crisis with Qlik - Webinar - YouTube