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Qlik活用事例:"声なき新生児が感じるストレスをどう把握するか"

バイタルデータ(生体情報)を用いた新生児ケアの改善

アメリカのジョージア州アトランタ市にあるアトランタ小児病院(Children’s Healthcare of Atlanta)では、治療時に新生児が感じるストレスを把握し、ケアの改善に役立てています。このブログは主に以下の記事の紹介となります。

"How Big Data Improves Care at Children's Healthcare of Atlanta"

http://globalbigdataconference.com/news/27043/how-big-data-improves-care-at-childrens-healthcare-of-...

アトランタ市はアメリカ南部にあるジョージア州の州都で、人口は約460,000人、1996年に夏季オリンピックが開催されたことで親しみのある方も多いかと思います。

アトランタ小児病院はジョージア州内に3つの病院を有し、2,000人の小児科医、10,600人のスタッフ、622の病床を抱える州最大の小児病院で、年間500,000人以上の子どもたちの治療を行っています。

新生児が感じるストレスを把握し、ケアの改善につなげる試みは看護師からの「新生児がストレスの高い治療を受けているときになにが起きているのかを理解したい」という声から始まりました。

【バイタルデータの収集】

これに先立つ2013年から、アトランタ小児病院ではジョージア工科大学と協力して、集中治療室にいる小児のバイタルデータ(心拍数、血圧、呼吸数、酸素飽和度等)を集める研究プロジェクトを行っていました。

ジョージア工科大学は音や光などの治療の環境が患者のバイタルサインにどのような影響を及ぼすか把握するために、時系列推移がわかる粒度の細かいデータを利用しようとしました。こうした情報を利用してケア提供者側が、静かな時間を作ったり、騒々しい機器を移動したり、診療エリアをデザインし直したりすることで治療の環境を向上させられると考えました。

しかし、収集すべきデータボリューム等を調査してみると、既存のシステムでは対応できないことがわかり、オープンソースのApache Hadoop(大規模データの分散処理を行う仕組み)を導入することにしました。

2013年にはこの仕組みを構築し、データの収集を始めるとともに、収集したデータをジョージア工科大学へ送付することが可能になりました。

※以下のリンクにアトランタ小児病院のビジネスインテリジェンスマネジャーであるTod Davisの講演動画があります。Hadoop環境の構築に際して施設の床に複数のサーバを並べて検証している様子やQlikViewの分析画面なども見られます。

https://www.safaribooksonline.com/library/view/strata-hadoop/9781491917381/video203170.html

【バイタルデータの分析】

看護師の要望に応えて収集したバイタルデータを見ると、各バイタルデータの兆候が既知のベースラインから長い時間外れていることがわかりました。Tod Davisは「不規則または上昇するバイタルデータの兆候は患者のストレスのしるしです。臨床医はこの強いストレスを感じる期間に気づき、痛みを和らげ、回復の助けとなるために患者に寄り添うようになりました」と話します。

こうした結果を受け、アトランタ小児病院ではスタッフが新生児の痛み/動揺/鎮静基準(N-PASS=neonatal pain, agitation and sedation scale)のスコアをよりよく評価し理解できるよう再教育しています。

また、Tod Davisは「一時的なニーズに対するマイナーな技術的な解決策としてはじめたことが、患者へのよりよいケアに役立つ技術を進展させる多くのドアを開きました」と話します。

アトランタ小児病院では、今後のビッグデータの活用として、喘息の調査研究において、20年間の大気環境と独自の喘息調査を結び付け、緊急治療室への訪問や小児喘息での再入院を減らす取り組みを進めています。

※関連する参考情報

"Big data can drive significant improvements in pediatric health care – now and for years to come."

https://www.childrenshospitals.org/newsroom/childrens-hospitals-today/fall-2015/articles/what-big-da...

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